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COVID-19と神経疾患患者 (April 29, 2020)
これまでのところ、神経疾患を有する患者さんが、COVID19に罹患しやすいとは言われていないようです。ただ、ステロイドや免疫抑制剤の使用(重症筋無力症、多発性硬化症、筋炎などの免疫疾患)は、重症化のリスクのひとつと言われているので、これらの薬剤を飲まれている患者さんは、より一層の注意が必要と勧告されています。日本神経学会から具体的なQ and Aがあります。
https://www.neurology-jp.org/covid/20200330_01.html
日本では、緊急の処置が必要ではない、安定した慢性期の患者さんには、電話診療で薬を処方したり、緊急でない検査は延期するようにしています。
COVID19と神経合併症
COVID19はコロナウィルスによる感染症で、多くは肺炎など呼吸器系への疾患を引き起こしています。そのため、発熱、咳などの症状が多くをしめています。しかし、ひどい頭痛、意識障害など神経系の症状を呈した症例の報告もされています。これまでの統計では、コロナウィルスの神経合併症はまれであり、神経合併症がコロナウィルスの直接的な侵襲によるものかはわかっていないようです。そのため、日本では、神経症状が出た際に受診してもらっています。日本神経学会から注意喚起があります。
https://www.neurology-jp.org/covid/20200406_01.html
よく言われている味覚障害や嗅覚障害についてです。これは、COVID19だけにおこる症状ではなく、風邪薬など薬の副作用で出る場合もあります。日本神経感染症学会から情報提供があります。
http://www.neuroinfection.jp/pdf/covid-19.pdf
COVID19患者と神経疾患
代表的な神経疾患というと脳卒中です。日本で、発熱や呼吸器症状、濃厚接触歴があり、COVID19が疑われる患者さんが脳卒中に罹患した場合は、PCR検査や肺炎の検査をし、医療スタッフが感染防御をしたうえで診療にあたっています。面会などは禁止していることがほとんどです。
COVID19に関しては治療方法が確立されていないので、皆様ご心配になることが多いと思います。現在、医学界も医療界も適切な対応ができるよう模索中で、これからも見解が変わっていくと思われます。感染症対策は、公衆衛生の向上もとても重要ですので、われわれ一人一人の予防策が大切と思います。
寺田達弘
静岡てんかん神経医療センター 神経内科